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三好 雄介

なぜ、自衛隊は東日本大震災でも『教育』を"停止"しなかったのか?


遠く離れた名古屋市内の訓練場でもあの地震の異常さにはすぐに気が付きました。教官からすぐに訓練を中止して、駐屯地に戻るように指示が出され、駐屯地に到着するころには末端の隊員が状況を把握するにはテレビ放送で十分過ぎる状況でした。

隊員の誰もがただ事ではない、と、すぐに出動だと感じていました。もちろん情報収集や出動準備はどんどん進んでいきました。私たちも教育を一時停止し、できる準備をどんどん進めていきました。気持ちはいつでも出動できる態勢が整っていました。

しかし、現在実施中の各種教育は引き続き継続するとすぐに指示がありました。

小さな研修などは停止し、可能な限りの人員が現地に派遣されましたが、結論から言うと主要な教育は一切止まることはありませんでした。

その当時は、主要な教育は規模も大きく、一度停止するとあとあと大変なんだろうな、程度にしか考えていませんでした。

数年後、地元愛媛県で広報官として配置されることが決まり、昔の教育資料を見返しているときにふと目についた項目がありました。

それは陸上自衛隊陸曹教育隊発足について内容でした。

1954年、自衛隊が創隊され、まず作られたのが『幹部学校』と『第1~5陸曹教育隊』という内容で、『リーダー格の人材の育成が最優先』であるという趣旨でした。

『幹部学校』とはその名の通り、幹部を育成する機関で、『陸曹教育隊』とは現場でチームをまとめる”小部隊のリーダー”を養成する研修機関のことです。

東日本大震災の時の疑問が頭に浮かびました。

昔から、日本人が一番大切にしてきたことは『教育』だったのかと。

私も飲食店店長を経験し、確かに利益の大切さは身に染みています。

利益が出ないときの不安や恐怖は今でも脳裏に焼き付いています。

現状の問題を解決し、利益を出していくのも”人”です。

昨年・先月・先週には出ていなかった売上を出すのも”人”です。

新しい商品を生み出すのも”人”です。

では、その”人”を生み出し、作り上げていくものは何でしょうか?

それが『教育』なのです。

『教育』が人生そのものを作り上げているといっても過言ではありません。

幼い頃からの『教育』で日本について間違った認識を持っている国民が大勢いる国も現に存在しています。

すべては『教育』から生み出されているのです。

これほどまでの大きな力を持つ『教育』に力を入れている組織と軽視している組織では、5年後、10年後にはどれほどの差ができているか想像してみてください。

先の大戦や社会情勢の変化、自然災害を経験してもなお『教育は最優先』である。

人がいれば何とかなる!何とかできる!その”人”を育てることこそが本当の価値であり、未来を切り開くためには欠かせない、決して目を背けて後回しにしてはいけないことです。

これは公務員や大きな組織に当てはまることではありません。

むしろ個人の力が占める割合が大きい中小企業の方が『教育』を必要としていると思います。

中小企業の経営者の方はとても勉強熱心で努力家の方ばかりです。そんな経営者の方を中心に中小企業は動いていると思います。しかし、自学研鑽し、常に勉強している人が一人なのと数名いるのではその企業の成長スピードは全く違います。

一人でできることには限界があります。

仲間を見つけるも良し、集めるも良し、育てるはなお良し。

仲間を育てることができる企業は今後どんな荒波が来ようとも乗り越えていけます。

1か月後、1年後、3年後、10年後を見据えてもう一度『教育』について見直してみませんか?

『教育』と堅苦しい言葉を使っていますが、週に1度の掃除をみんなでする、ハンカチを必ず携帯する、これも立派な教育です。


どんなに悲惨な状況でも、どんなに苦しい時でも”未来”を見ている限り『人を育てる』ことをやめてはいけない、人が育たなくなると未来はなくなります。

未来を見続ける限り、人を育てることに手を抜いてはいけない!未来は人が作り出すものです。





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